初めての海外一人旅がポルトガルじゃなかったら悲しい人生だった

2007年は仕事のストレスが最高潮だった頃、そして結婚して相方にあわせていたら私は一生海外には行けない…と気付いた頃。一人でできるだけ遠くへ、思いつく限り西の一番果て・・・ということからポルトガルに旅行にでかけた。

このポルトガル旅行をきっかけに、一人旅を続けることになったわけだが、もしこの時に、英語や日本語だけで簡単、手軽に行ける旅、異国情緒が味わえない場所に行っていたら、ここまで一人旅にはハマらなかったであろう。

ポルトガル一人旅の経験があまり素晴らし過ぎて、一人旅をやめられなくなってしまったのだ。

当時はもちろん一人旅初心者。たった5泊7日しか滞在していなかった。今となっては信じられない短期間の日数だ。

仕事のスケジュールに極力穴をあけないように・・・という考えだった。

あんときゃとにかく電話がつながらなくなると仕事関係の人に迷惑がかかる!と、 わざわざレンタル携帯電話を借りて持っていくほど、仕事の体裁を保とうと必死だった。

あの頃の仕事関係の人たちと、今はもう一切繋がりはないのに、何をそんなに気にしてたんか。

今考えたら、ほんまアホかと。

初めての一人旅は楽しみの半面、不安も一杯。飛行機での過ごし方、空港の乗り継ぎの方法やら、何を着るべきかやら、ロストバゲージにあったらどうするかとか、何を持っていくべきかとか、一人旅について、できるだけたくさんの情報をネットで調べまくっていた。

当時は1ユーロ167円(2019年8月23日118円!嗚呼!)航空券は11月の最安時ではあるが、139,730円(高ぇ!)、それでも安い航空券や宿を探してプランを立てていった。

 JALの早割ロンドンヒースロー経由でポルトガルのリスボンへ。一人旅初心者なので、できるだけ簡単に旅行できるようにと、駅から近いホテルにずっと連泊し、そこから日帰りで行ける範囲で、郊外の街を訪れるという旅。遠くのナザレやポルトといった地域には行かなかった。

国鉄エントレカンポス駅と地下鉄カンポペケーノ駅から歩いて5分のベルナというホテル、朝食付き1泊7410円のホテルに5泊。朝ごはんのオリーブの実が入ったハムが美味しかった。

当時は海外の事情はまだよくわからず、恐る恐る行動していた。

空港からホテルまで、タクシー代をケチり、バスで行こうと試みるが、バスはなかなか来なくて不安になる。

やっと来たと思って乗ったものの、猛スピードで暴走するため、自分のホテルがあるバス停を二~三停通り過ぎてしまい、また引き返すバスに乗ってホテルに到着するのも必死だった。

ポルトガル語圏というのが自分にとってのハードルだった。しかしこの言語の違いが、エキゾチックで、旅をより魅力的に感じる理由となった。

路線バスでユーラシア大陸の一番西のロカ岬に行った。バスの本数は少なく、夕日は見たいが、その時間まで滞在すると次のバスはだいぶ後で帰るのが遅くなってしまう。

なので夕日を見るのはあきらめていたのだが、乗ろうとしていたバスがかなり遅れて到着したのだ。

水平線上にクッキリと太陽が沈むところを、生まれて初めて見た。

真っ暗な帰り道、一人でドギドキしながら入ったレストランのおじさんが、すごく親切でお酒やコーヒーをサービスしてくれた。

オビドスという小さな城下街へ行く列車で、隣に乗りこんできた可愛い女の子3人と「旅の指さし会話帳」で指差し会話したり(今ならGoogle翻訳があるのにね)。

ペーナ宮殿という様々な建築様式をくっつけたお城にええ意味でショックを受けたり。 空気が澄んでいるから、見える色がとにかく鮮やかだった。

また自分にとって極め付けが、ホテルからすぐ近くにある闘牛場の地下がスーパーになっていて、毎日観光地から帰ってきた後はそこで陳列棚を端から端までチェックするのがあまりにも楽しかった。

ポルトガル語が分からないから、その商品が何かわからないので、何であるか想像する。それだけでも楽しくて仕方なかいのだ。

しかし自分にとって、目の前にあるもの全て、肉、魚、野菜、からお菓子まで、キラキラと輝いて見えた。

こんなこと、他の人からすると、めちゃくちゃつまらないことかもしれない。でも些細な事もすべて幸せに感じてしまうのだ。

ここで魔法にかかってしまった。

ここからもうとまらなくなった。

もし最初の一人旅で、異国感があまり味わえない国であったり、普段と変わらないような旅行を経験してしまったら、ここまで一人旅はまらなかったかもしれん。

ちょっと大変、ちょっとハードルが高いところに行く。そしてそこを乗り越えると、次のハードルをもう少し高く設定する。するとまた見たことがない世界が開けてくるのだ。

毎回毎回の一人旅は自分にとっての挑戦。それが自分の成長へと繋がっているのを実感している。

なのでポルトガルは、「よしおちゃん一人旅」発祥の聖地。ここから今の自分になることができた。自分にとって第二の人生の始まりの場所。現在のところ、まだ行ってない国が沢山あるので、優先的に未踏の地をめざしているが、あと何年、何十年かしたら、必ずポルトガルに戻ってこようと思う。

その時はポルトやナザレにも行って、もっともっとポルトガルを満喫するぞ!