イスラエル⑩路線バスでネゲブ沙漠ミツペラモーンへ☆ここは火星か!

イスラエル10日目は、エルサレムからネゲブ沙漠の小さな街、ミツペラモーンへ行く。 そこには自然から生まれた広大な窪地、ラモーンクレーターがある。

朝、もたもたしていたら8:30を回ってしまった。急いで路面電車の駅に向かい、バスターミナルへと向かう。今日は金曜、夕方から安息日に入るので、早めにミツペー・ラモーンに着いておきたいのだ。

エルサレムのセントラルバスステーションからバスにのり、ベエル・シェヴァで乗換える。

▼エルサレムからミツペー・ラモーンへバスで行く方法はこちら!

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エルサレムからミツペー・ラモーン

9時ごろにエルサレムのセントラルバスステーションを出発し、1時間半で乗換え地であるベエル・シェヴァに到着。なんだかあっという間。

ベエル・シェヴァのセントラルバスステーション

ミツペー・ラモーン行きの次のバスは、11時00分。あと少し時間があるので朝食を食べよう。

ベエル・シェヴァのバスターミナルは、1階建てで広いが見渡しが良い。ファーストフード店や、コンビニもあり、パンやコーヒーも販売している。

バスを待っている間、シナモンロールをかじりながら、熱いコーヒーを飲む至福のひと時。

と思いきや、すぐにバスが来たので慌てて飲んで食べる。

荷物をトランクに入れようとするが、いっぱいいっぱい。スーツケースを無理やり押し込んだ。

イスラエルは、ユダヤ人であれば、一部を除き、18歳から兵役が課される。金曜日は安息日なので、みんな地元に帰る人でバスはごった返していた。

バスに乗ると、席がほぼ埋まっている。後ろの方まで歩いていと、女性の隣りが空いていた。荷物をたくさん持っていて、座席にも置いてたので、申し訳なかったが、隣に座っても良いか尋ねると、すぐに荷物を動かして席を開けてくれた。

バスはすぐに出発、 隣に座ったのをキッカケに、彼女がバスを降りるまで、ずっと彼女と話しをしていた。

彼女の名前はジョヴァンナ。ブラジル出身の弁護士で、娘さんが結婚してイスラエルで暮らしており、ジョヴァンナも数年前からイスラエルに移住し、こちらでも弁護士の仕事をしている。

彼女の娘さんは、ベエル・シェヴァからミツペー・ラモーンの途中にある町、スデ・ボケルに住んでいる。今日は彼女に会うためにこのバスに乗っているのだそう。

ポルトガル語、英語、ヘブライ語が話せる。全部違う系統の言語が話せるなんてすごすぎる。その上その究極に難しいヘブライ語で弁護士の仕事をするなんて考えられへんわ。

ジョヴァンナは今、ベエルシェヴァに住んでいるということで、聞きたいことがあった。13日前の5月4日、 パレスチナ自治区のガザ地区からイスラエル側にロケット弾が600発以上撃ちこまれており、イスラエルでもガザ地区に近いところ数か所で被害があった。その中に彼女が住むベールシェバも含まれていた。大丈夫だったのかと。

ジョヴァンナは「そう、空襲警報があって、シェルターに入ったの。空を見上げるとパレスチナ側のロケット弾が、イスラエルの迎撃ミサイルで迎撃されてるのを見たのよ。空が光ってね。イスラエルに来て数年経つけど、初めての経験だったわ。 」という。

あわわわ。。。リアルに見たんかい。

そしてジョヴァンナは「でもね、みんな全然慌てないのよ。私もシェルターがどこか知らなかったんだけど、誘導されて入ったの。みんな本当に落ち着いてるのよ。」

あわわわ。。。慣れてるんか。。。

イスラエル軍といえば強力な迎撃システムを備えてるとは聞いていた。イスラエルに来て今で10日目、全く危険な雰囲気を感じることなく、他の国よりも安全と感じる状況で過ごしてきた。そしてそのつい最近警報が発令されたベエル・シェヴァを通ってきた訳だが、どこにもそんな気配は見えず、外から見る限りでは、ひたすら平和にしか見えない。

自分の常識、まだまだ狭い。

ジョヴァンナとよしおちゃん

ジョヴァンナとFacebookを交換し、その後 彼女は娘さん一家の居るスデ・ボケルで降りていった。また会いたね。

スデ・ボケル・・・素でボケる。

・・・じゃなくて、すごいエエとこらしい。イスラエルの初代首相のベン・グリオンが住んでいたところだそうな。次にイスラエルに来たときは行ってみよう。

ここに来てあっちにもこっちにもいい人ばっかり見ているから、ただただ何でこうなるのかとばかり思う。日本の平和主義は行き過ぎかもしれないが、みんな全てが平和主義であれば誰も傷つかないのに。でもそれはありえないよな。

バスは何もない沙漠の中を走る。途中で刑務所があった。この状況、逃げても回りに隠れるものが何もないからすぐ見つかってしまうかも。

12時過ぎに宿泊先の最寄のバス停に到着。バスを降りると、そこは開拓地のような場所だった。

宿泊先はAirbnbで予約したアパートメント。 Airbnbの難所は、一般の家、特にアパートの一室に泊まる場合、建物がある正確な場所がGoogleマップで見つけにくいことだ。

私が利用した部屋のオーナーは、私が滞在中はずっと不在とのことで、バス停の近くの商店から部屋への行き方、鍵の場所をビデオに撮って送ってくれた。

しかし実際バスを降りるとお店はあるものの、何かビデオと違う。住所はこの辺りで間違いなのだが…露頭に迷う。

ちょうどそばでおっちゃん2人がお店の前でおしゃべりをしていたので、ビデオを見せて「この店を見たことある?どこ?」と尋ねる。

おっちゃんは、それを見てしばらく「う~ん・・・」と考えた後、気付き、「ああ!あそこだ!」と指を差す。

バス停の斜め向かいに小さな商店があり、該当するアパートの建物はその裏だった。

どれも同じような建物なのだ

さて、無事入室。荷物を置いて、台所チェック。

というのも、今日と明日は安息日。お店が閉まってしまう前に食料品を買って、この後は自炊せねばならんのだ。

海外旅行の自炊の難所はガスコンロと電子レンジの使い方だ。だいたい日本のコンロみたいに、カチっと自動的に点火しないのだ。なのでツマミを回してガスが出たらマッチやライターで火をつける。これができなければ自炊できないので確認しておく。最初ライターが見つからず、マッチがあったのでつけてみたが、指を燃やしそうで結構怖いのよね。しばらくしてお玉立ての中にチャッカマンのようなライターが入っているのを発見。電子レンジはツマミを回すだけのシンプルなタイプだったので無事テスト通過。違う国の電子レンジで、 英語表記がない場合、特に機能が色々ある機種だと、なんやらボタンがたくさんあって、意味不明の言語やアイコンだらけの場合があるから、もうさっぱりわからず使用を断念することがある。

オーナーは私が滞在する金曜日から日曜日まで不在。実は数日前に、オーナーに予定ができたから、私が滞在する日にちを1日早めて木曜からにしてくれないかという打診されるメッセージがあった。予定決めてるのに、それは無理やろ!と困っておったが、結局動画を使ったチェックイン方式で解決した。

「部屋はあなた一人だ。好きなように自由に使ってくれ」とのこと。それは気楽で良かったが、一つ頼まれごとをされた。

「部屋にウサギがいるから、エサと水を与えてほしい」とのこと。リビングの奥にそいつがいた。

「噛むから気をつけてね」とのこと。。。仲良くなれるだろうか・・・。

さて落ち着いたところで、まずは食料調達だ!夕方前には商店が閉店してしまう。Googleマップで評価が良かったお店を尋ねた。そこは小さなお店だったが、お酒もあるし!一通りモノは揃っていた。

相変わらずヘブライ語表記なので、野菜など見た目にいかにもなモノ以外は何の商品かわからない。お店のお兄さんに「これってクリームチーズ?」とか尋ねる次第。

ちなみにこのお店はCooperative Supermarket、いわゆるコープ(生協)。価格が二つ表記されていて、会費を支払っているコミュニティの人以外は少し高い値段が設定されている。でも全く良心的な値段なんやけどね。

ヘブライ語で書かれているので一応「このワインはイスラエルのワイン?」とお兄さんに尋ねると。「そうだよ。安いワインだ。以前は僕も飲んでたんだけけどね」という。

以前って・・・おいしくないんかい!?と思ったが、実はお兄さん「最近はずっと自家製ワインを飲んでるからね。ちょっと酸味が強いんだけどね。」とのこと。

おおお。手作りのワイン飲んでみたい。

さてさて、大量に食品を買い込み、アパートへ帰ると、アパート前は祭り状態。

人ではなく、動物のな。

アイベックスという、ヤギ属ウシ科の動物。アイベックスといえばヨーロッパの山岳地帯におるが、このアイベックスはヌビアアイベックスというやつで、アラビア半島やアフリカ北東の山岳地帯におる。

アパートに食材を置き、再度出かける。アパートから、ラモン・クレーターが見渡せるミツペ・ラモン・ビジターセンターまでは歩いて8分ほど。

16:00ようやく、地球の溝、ラモーン・クレーターへ!

あまりの崖っぷちぶりに、最初は足がすくむ。風が強く、風に押されてフラっとしたら、もう終わりや。

ビビリつつ自撮りするよしおちゃん

「!」ふと向こうの崖を見ると、先ほどアパート前におったアイベックスさんがここにもいた!

このヌビアアイベックスは絶滅危惧II類、危急種で、野生の個体としては1200頭しかいないそうだ。

しかしここにはいっぱいおるんだが。。。

先ほど崖の上に見えた彼に近づく。ラモン・クレーターに住む仙人のようだ。

仙人、寝てへんのか・・・?

そういや朝シナモンロールを食べてから何も食べてなかったな。お腹がすいたので一旦アパートに帰って何か作って食べよう。

イスラエルの安モンの赤ワイン、ゴールドスタービール、トマトペースト、半額のパン、パスタ、なす、レモン、卵、ハーブ入りクリームチーズ、ニンニク、枝付トマト、ヨーグルト、びわ。ヘブライ語はわからんので、ほぼ見た目で何かわかる食品群。

レモンを買ったのは、お水用。イスラエルの水道水は十分飲めるクオリティーなのだが、どうも自分的には臭いが気になるのでレモン汁を入れるのだ。冷やしておくとこれが旨い!びわは日本の味と同じだった。

18時、まだ明るいが夕飯の時間だね。オリーブオイルでニンニクをいため、トマトとなすをぶち込むんで湯がいたパスタに和えるというシンプルな男の料理。ちなみに材料が余るので、明日もこれを食べる。

夕飯を食べたら、再々度出かける。今度は暗くなるまでラモーンクレーターのそばに居たい。

夕日は反対側なので、ここからは見えないが、クレーターが赤く染まっていくのが見える。

日没を過ぎ、辺りが暗くなってくると、月が輝きだすと、ユダヤの学生さんたちが現れた。安息日、シャバットが始まる時だ。

風が強いので、石垣の壁の裏に座っていたのだが、後方が何だか騒がしい。

めちゃくちゃ学生さんが集まり、輪になって歌い出した。

何曲も楽しそうに歌って輪になって踊り続けている。安息日は静かに過ごすもんやと思いきやエラい盛り上がり様。

あんまりにも楽しそうで、こちらまで幸せな気分になる。風が強いので大切なユダヤの帽子、キッパやティフィリンが飛んでいきそう。

ちなみにキッパは頭のテッペンに乗せるユダヤ教の丸い帽子。頭上に神がいるので、頭を隠して神に対する謙遜を意志する。テフィリンは額や手に付ける黒い小箱で、箱の中には聖書の句が書かれた紙が納められている。トーラー(ユダヤ教の聖書)の教えを守り、神との契約を忘れないようにするもの。

学生さんたちは帰っていき、やがて辺りは真っ暗に。空を見上げると月がくっきり。ラモン・クレーター、ユダヤ人にとってスピリチュアルな場所であるが、日本人の私にも、それがひしひしと伝わってきた。