イスラエル⑪沙漠の街ミツペラモーンで人生初のヒッチハイク

イスラエル11日目、ネゲヴ沙漠の小さな街ミツペラモーン2日目は、土曜で安息日。沙漠を巡る4WDツアーもお休みなので、今日はラモンクレーターの崖を降りてトレッキングする予定。

まずはラモンクレーターの朝日を拝みに行く。 5:45が日の出の時刻なのでそれより早く着くよう朝5:15にアパートを出る。

10分ほどでビジターセンタ裏に到着。夜明け前。意外と寒いのでウィンドブレーカーを羽織る。

午前5:53。出ましたえ!

あっという間に太陽が顔を出し、岩場が赤く染まる。

この場所にいるだけで心が洗われるような思いがする。

崖のふちに腰掛けて1時間ほどのんびり。そして振り返ると奴らがおった。

ヌビアアイベックスは絶滅危惧II類、危急種で、野生の個体としては1200頭だったよな?なんか一杯いるぞ。。。

ミツペーラモーンの人口は約4600人ほど。今のところ人の数よりもアイベックスさんの数の方が多いように思えるのは安息日だからか。。。

ヌビアアイベックスは昼行性の動物。なので皆さんまだちょっと眠そう。

葉っぱや草を食べて生きているのだが、この沙漠、植物を見つけるのも大変そうだ。

人間も起きる時間だ。

7:00、ラモーンクレーター からアパートまで近いので、朝日を拝んだ後、帰ってゆっくり朝食を取れるのがありがたい。昨日買った半額のパンと、適当なスクランブルエッグとビワとヨーグルトで朝食。

のんびりしていたらもう9:00だ。ラクダ岩の展望台へ。

丘の上にラクダのような形の岩があり、その上が展望台になっている。

この展望台からラモーンクレーターが良く見える。左手にミツペラモーンの街、そして右手がラモーンクレーター。

小さい街というか、大きな村やな。こんなに離れたところにポツんとあるのが魅力的過ぎる。ここミツペラモーンに人が移り住んできたのは、1956年以降なので、今も第一世代の住民も住んでいるが、日ごとに人が増えているそうな。

さてラクダ岩を降りて、ラモーンクレーターをトレッキングしてみよう。で、どこから入るん?しかもこの崖降りるん?無理無理。

崖っぷちで足がすくむ

どこから行くのかさっぱりわからん。地球の歩き方にはカーペンタリーというところにいくトレッキングコースがあると書かれているが、地図があまりにもおおざっぱ過ぎて参考にならん。ビジターセンターに行けば地図があるかもだが、面倒だ。

10:00、なんだか緑色の道しるべらしきものがあったので、それを頼りに崖下りを実行。ここでええんやろうか・・・。

なんかようわからんが、崖を下りている。なんだか前方に道のように見える筋がある。これがトレッキングコースなのか?

うむ確実に降りているし、ここで良いと思いたい。崖っぷちからだいぶ降りてきたように思えるのだが、歩いても歩いても、まだまだ下までたどり着かない。

崖を降りるといっても、意外となだらかで、滑ってしまいそうなキツイ坂もなく、危険な場所は全くない。

それでもここで良いのか不安になりながら、降りてきたが、なんだか標識が見えてきた。

おお!カーペンタリー!ここで間違いない!

ここからは、ほぼアップダウンはないのだが、結構歩くことになる。

ラモンクレーターは、長さが40km、幅が2~10km、深さは500mもあるそうだ。ミツペラモーンの村自体が海抜860mなのでここよりまだまだ深いところがあるわけだな。

このラモーンクレーター、クレーターとよばれるが 火山や隕石の落下ではなく、 実際は2億年前、地殻変動や浸食によって形成されたものと言われている。

この写真ではわかりにくいが、崖の上にビジターセンターが小さく見えている。

望遠で見るとわかる。だいぶ遠くまで来てしまった。もう後戻りできない。

なぞの植物。これが足に突き刺さって痛い痛い。

こんなに乾いた砂地なのに植物が生えている。雨は年間50ミリ程度だが、降ったら鉄砲水になることもあるそうだ。

不思議な形になった玄武岩のプリズム。

また新しい標識が見えた。もう一つのトレッキングコース、シェンラモン方面と合流しているらしい。

写真を撮りながらなので結構時間がかかり、かれこれ1時間半以上歩いている。早朝とは打って変わって暑い。さすが沙漠。これまですれ違った人は3人。そしてこの標識のあたりで二人の男女が別のトレッキングコースから歩いてきた。話している言葉を聞いている限りではアメリカ人。

そのお兄さんが、私を見て「どうしたの?迷ったの?」と聞かれた。いやいや、迷うかいな。今標識あったし、と思いつつ「大丈夫やで」と返事する。

お兄さんは、それぞれトレッキングコースの方向を教えてくれた。そして「水は持ってるか?」と尋ねられた。

「水ならあと500mlは残ってるよ」というと、「それでは足りない。今からコースの最後まで1時間以上はかかるし、そこには水は売っていない。帰りは坂を上るから、数時間はかかる。水がないと危ない」という。

さらにお兄さんは「トレッキングコースの最後までたどりついたら車道があるから、誰かに車に乗せてもらった方がいい」という。

いや、ヒッチハイクって・・・そんな勇気ないし・・・と思っていたら、お兄さん「この辺には危ない人はいないから大丈夫だよ。乗せてもらうんだ」という。

いや、そういう問題やなくて・・・。

お兄さんはアメリカ出身だが、イスラエル在住の人であった。なんでこの場所には詳しいみたい。

まあ水をちびちび飲めば大丈夫やろう、と思いつつ。

道に迷う。

ひゃー!なんか緑の道しるべ見ないと思ったら、目の前が丘になり、道がわからなくなった。慌てて引き返すと、緑の道しるべを発見し、無事ルートに戻る。ここで迷ったら干からびてしまう。。。

兄さん大げさやなあと思っていたが、ちょっと心配になってきた。

しかしこの辺り、土や岩の色がカラフルで面白い。どうしたら天然でこんな色になるのか不思議。

実はこのラモーンクレーターには 砂岩、石灰岩、玄武岩、 燧石など、世界のあらゆる石や岩の種類の7割近くがここで見られるのだそう。

このラモーンクレーター、クレーターとよばれるが 火山や隕石の落下とは無関係で、 実際は2億年前、地殻変動や浸食によって形作られたものと言われている。

もう誰にも会わないなあ…と思ったら、ここの住人に会った。

シャローム!
なんだこのドヤ顔は。

自然の不思議の宝庫のトレッキングコースもここで終点らしい。駐車場が見えてきた。

そして右手にはもう一つ丘がある。なんだろう。ひょっとしてこれが地球の歩き方に書いてあったカーペンタリー?どこにも表記がないのだが。で、ところでカーペンタリーって何よ。

おおお!これが カーペンタリーですか!というか、綴り見ると、どっちか言うたらカーペントリーやな。

新第三紀(凡そ500万年前)、ラモーンクレーターが形成されたとき、柔らかい砂岩が浸食されて、変性して再結晶化して、珪岩の角柱になったんだそうな。

この丘から向こうにも不思議な色の砂が見える。

楽しかった。地質学を勉強したくなった。

さて、あの車がるほうが、車道かな?帰るとするか。前方を進んでいくと、家族連れで遊びに来ているらしき人たち。3人は車の外で何か見つけて楽しんでいる様子。一人車に残っていたお姉さんと目が合ったので、挨拶し、引き続き歩いていた。

しばらくすると、その車が私の前に通りかかり、「乗っていく?」と。

なんか、こんなところを一人で歩いているので心配されたのかしら。「ありがとう、大丈夫!」と言いたいところだが・・・。

乗せてもらった!

ついついご厚意に甘えてしもうた。しかも車の中にはこんなにかわいいちびっこちゃんが!

キャー!かわいい!

シボンヌさんと、エラさん、そしてちびっこちゃんは、エイタくんとケイトちゃん。4人はテルアヴィヴの近くに住んでいるのだが休暇でこちらに来ているそうだ。

乗せてもらって初めて分かった。これ帰るん、きついで。

エイタくんが場所を説明してくれているのだがヘブライ語がわからへんねん

ありがとう。ほんまにありがとう。

4人はビジターセンターへ向かって行った。お菓子まで私に分けてくれた。

一人で沙漠を歩いてきた変な東アジア人にわざわざ声かけてくれて…なんていい人たちなんだ。。。

嬉しいことがあった日は、何かお土産を買うようにしている。そのお土産を見ると、その時のことが思い出せるから。ずっと忘れないように、ビジターセンターでお土産を買った。

そしてアパートに戻ると、こちらのうさぎちゃんとは、相変わらず仲良くなれなさそうだ。。。エサあげてんのに。

少し休憩して、昨日と同じ夕飯、トマトとなすのパスタを食べる。そして今度は夕日を見に、再度ラクダ岩に戻る。

19:29、日の入の予定。

ラクダ岩からはラモンクレーターの反対側の方角が見えるので、夕日を見るならここなのだ。

あっという間に今日が終わる。

そして、あっという間に暗闇に。反対側の空には・・・今日は満月だった。

もう辺りは真っ暗。月明りを頼りに、ラクダ岩を降りる。

この土地は今まで体験したことがないことがいっぱい詰まっている。なんなんだ。見えないスゴイパワーにあふれている。